パリは、エッフェル塔やセーヌ川、ルーヴル美術館など、世界中の人々を惹きつける魅力が詰まった「花の都」です。
でも実は、フランスの本当の魅力はパリの外にもたくさん広がっています。
地方都市には、パリとはまた違った空気感、文化、そして人々の温かさがあります。
本記事では、実際に訪れて感じた“地方都市ならではの魅力”を紹介しながら、旅行や移住のヒントになればと思います。
次のフランス旅行では、パリ以外にも目を向けてみませんか?
パリだけがフランスじゃない!

世界中が憧れるパリ、その魅力とは?
フランスと聞いて、まず思い浮かぶのはやっぱり「パリ」。
エッフェル塔やルーヴル美術館、セーヌ川沿いの散歩道、カフェでくつろぐ人々…まさに映画のような風景が広がっています。
美食、芸術、ファッション、建築など、どれをとっても世界中の人々を惹きつける魅力が詰まっており、初めてフランスを訪れる人の多くが「パリに行ってみたい」と口を揃えるのも納得です。
でも実は…フランスは地方にこそ魅力がある?
しかし、フランスの魅力はパリだけではありません。
むしろ、地方都市にこそ「本当のフランスの姿」があると言っても過言ではないかもしれません。
地方には、独自の文化や歴史、伝統が息づいており、観光地化されすぎていないからこその素朴な美しさや人々の温かさがあります。
実際、フランス人自身も「フランスで一番美しいのは地方だ」と語る人が少なくありません。
それぞれの地方が持つ個性やアイデンティティが、訪れる人に新鮮な驚きと深い感動を与えてくれます。
地方都市の魅力に気づいたきっかけ
私自身、最初はパリばかりに目がいっていましたが、実際に地方を訪れたり、短期間住んだりする中で、その印象は大きく変わりました。
例えば、ある町ではマルシェで地元の人が買い物をしながら自然と会話が始まり、まるで昔からそこに暮らしていたような気持ちになったこともあります。
日々の生活の中にこそ、フランスらしい優雅さやあたたかさが感じられたのです。
本記事で紹介する地方都市について
この記事では、そんな“フランスの地方都市”の中から、特に魅力的で印象深かった5つの街をご紹介します。
旅行先としてももちろんおすすめですが、「移住してみたい」「ヨーロッパののんびりした暮らしに憧れる」という方にとっても、きっとヒントになるはずです。
ぜひ、あなたの知らなかったフランスを一緒に見つけていきましょう。
地方都市の魅力とは?

パリよりゆったり流れる時間
パリは刺激に満ちた都市ですが、地方都市に足を踏み入れると、まず感じるのは「時間の流れの違い」です。
通勤ラッシュもなければ、人混みに疲れることも少なく、街全体にゆったりとした空気が流れています。
朝はマルシェでのんびり買い物、午後はカフェのテラスで読書やおしゃべり。そんな日常が自然と成り立っているのです。
せかせかした日々から離れて、本来の“生活のリズム”を取り戻したい人には、まさに理想的な環境です。
地元密着の人間関係とあたたかさ
地方では、住民同士の距離が近く、あいさつやちょっとした立ち話が当たり前。
お店の人の顔を覚えてもらったり、「今日はこれがおすすめよ」と声をかけられたりと、人の温かさを肌で感じられます。
観光客として訪れるだけではなかなか味わえない、地元の人とのつながり。
それが自然に生まれるのも、地方都市ならではの魅力です。
パリに比べて物価が安いって本当?
結論から言うと、本当です。
家賃はもちろん、外食や日用品、公共交通まで、地方はパリより明らかにコストが抑えられます。
例えば、同じ広さのアパートでも、パリでは1,500ユーロ以上かかるところが、地方都市では800〜1,000ユーロ程度で見つかることも。
生活費全体が下がる分、趣味や旅行に回せる余裕も生まれます。
自然と街の距離が近い
多くの地方都市は、山・海・川・田園風景など、自然に囲まれています。
少し郊外に出るだけでハイキングができたり、ピクニックにぴったりの場所が見つかったり。自然との共存が、ごく自然に暮らしの一部になっているのです。
都市に住みながらも、気軽に自然と触れ合える──このバランスの良さも、地方暮らしの大きな魅力です。
観光地化されすぎていない“本物のフランス”
パリの観光地では、どうしても“観光客向け”のサービスや雰囲気が前面に出がちですが、地方都市では、地元の人の暮らしがそのまま息づいています。
伝統行事や地域の祭りも、観光客のためというより「そこに住む人たちの生活の一部」として続いています。
洗練されすぎていない、少し素朴で人間味のあるフランス。
そんな“本物のフランス”に出会えるのが、地方都市を旅する・暮らす一番の醍醐味かもしれません。
実際に訪れて感じたおすすめの地方都市

フランスには数えきれないほどの地方都市がありますが、その中でも「実際に行ってみてよかった!」と感じた5つの街をご紹介します。それぞれに違った魅力があり、旅先や移住先としても十分に候補になる街ばかりです。
リヨン(Lyon)|美食と歴史が交差する街
おすすめポイント:
- ユネスコ世界遺産の旧市街(ヴュー・リヨン)
- ブション(地元料理レストラン)で味わう伝統的なフランス料理
- パリからTGVで約2時間の好アクセス
リヨンは「美食の都」として知られ、地元のブションでいただく料理は、どれも温かみと深みのある味わいです。
中世の面影を残す旧市街を歩けば、まるでタイムスリップしたような気分に。都市としての規模感もちょうどよく、観光にも生活にもバランスの取れた街です。
トゥールーズ(Toulouse)|バラ色の街と航空宇宙の中心地
おすすめポイント:
- ピンク色のレンガ建築が美しい「バラ色の街」
- エアバス本社、宇宙博物館など先進産業の拠点
- スペインにも近く、文化のミックスを感じられる
南西フランスの中心都市トゥールーズは、伝統と革新が共存するユニークな場所。
歴史ある街並みに、宇宙や航空に関する最新技術の気配が交差する、不思議な魅力があります。
明るく開放的な南仏の雰囲気も魅力のひとつです。
ナント(Nantes)|芸術と創造が息づく港町
おすすめポイント:
- 巨大な機械仕掛けアート「レ・マシーヌ」
- 環境に配慮した都市開発で注目
- ロワール川沿いののびやかな景観
大西洋に近い港町ナントは、アートや創造性あふれる都市。
まるで絵本の世界のような巨大な象の機械が街を歩く光景は圧巻です。緑が多く、街づくりにもエコの視点が取り入れられていて、現代的でありながら温かみのある暮らしが感じられます。
モンペリエ(Montpellier)|若さと海風が混ざる自由な街
おすすめポイント:
- 学生が多く活気あふれる文化都市
- 地中海までトラムでアクセス可能
- 中世の街並みと現代建築が共存
南フランスのモンペリエは、活気があって自由な雰囲気に満ちた街。
大学が多く、若者が行き交うことで常にエネルギーを感じます。
夏にはトラムに乗ってビーチへ行けるのも魅力で、都会とリゾートのいいとこ取りをしたようなライフスタイルが楽しめます。
エクサン・プロヴァンス(Aix-en-Provence)|芸術と自然が共存する南仏の街
おすすめポイント:
- 画家セザンヌゆかりの芸術の街
- 毎週のように開かれる活気あるマルシェ
- プロヴァンスらしい色彩と香りにあふれる街並み
南仏らしい優雅な雰囲気を味わいたいなら、エクサン・プロヴァンスはまさに理想的。
オリーブの木やラベンダー、石造りの建物に囲まれた暮らしは、心まで穏やかにしてくれます。
観光だけでなく、長く滞在したくなる街です。
地方都市に住んでみてわかった“リアル”な暮らし

地方都市を旅するだけでは見えなかった、実際に住んでみて気づいた魅力や発見。
ここでは、日々の生活の中で感じたことをリアルにお伝えします。
週末はマルシェめぐりが定番に
フランスの地方都市では、週末になると広場や通りでマルシェ(市場)が開かれます。
地元の農家が育てた新鮮な野菜、チーズ、ハム、花束やオリーブオイル…。見ているだけでもワクワクする空間です。
「今日は何を買おう?」と袋を持って歩く時間は、生活に彩りを与えてくれます。
地元の人たちと「これ甘いよ」「今日は風が強いね」なんて言葉を交わすのも、心が温まる瞬間です。
カフェで過ごすゆったりした午後
どの街にもカフェはたくさんありますが、地方のカフェはとにかく“のんびり”。
一杯のエスプレッソで何時間も座っていても、誰も気にしません。
本を読んだり、ノートに何かを書いたり、ただぼーっと空を見上げたり。
パリとは違う、落ち着いた時間の流れの中で、自分のペースを取り戻すことができます。
フランス語に苦戦?でも意外となんとかなる
地方では英語があまり通じない場所も多く、最初は少し不安でした。
でも、片言のフランス語でも一生懸命伝えようとすると、みんなとても親切に応じてくれます。
最初はパン屋さんで「これください」さえ緊張していたのに、だんだん自然と「今日はいい天気ですね」と話しかけられるように。
語学はツールでしかない、ということを身をもって体感しました。
地元の人との距離が近い
都会よりもコミュニティのつながりが強いのが地方の特徴。
通っているパン屋のマダムが顔を覚えてくれたり、近所の人が「この道、花が咲いてるよ」と教えてくれたり。
“住む”というより、“暮らしに溶け込む”という感覚が近いかもしれません。
孤独を感じることが少なく、自然と地域社会の一員になっていく心地よさがありました。
「観光地」ではない日常の美しさ
地方の街には、観光パンフレットに載っていない美しさがたくさんあります。
誰もいない小道に落ちる木漏れ日や、夕暮れの空と石畳のコントラスト。
何気ない風景が、ふとした瞬間に胸を打つことがあります。
「何もないけれど、すべてがある」そんな感覚に包まれるのは、地方都市で暮らしてこそ味わえる特権かもしれません。
フランス地方都市、こんな人におすすめ!

パリも素晴らしい都市ですが、地方都市に暮らしてみて感じたのは、「ここは、こんな人にこそ合う場所だ」ということ。
都会の喧騒を離れ、自分らしい時間を大切にしたい人には、地方都市の暮らしがぴったりかもしれません。
パリの喧騒から離れて静かに暮らしたい人
毎日が慌ただしく、せかせかと過ぎていく都会の生活。
そんなスピード感に疲れてしまった人にとって、地方都市ののんびりとしたリズムは心地よいリセットになります。
自然と共に暮らし、空の広さや風の音を感じる。
静かな場所で自分のペースを大切にしたい人には、パリではなく地方都市が向いています。
フランス人の“リアルな暮らし”に触れたい人
観光で見るフランスと、実際の暮らしのフランスは全く違います。
地方では、観光地化されていない日常の中に、フランス人の価値観や文化が色濃く残っています。
スーパーの品揃え、マルシェの会話、パン屋でのちょっとしたやりとり。
「本物のフランス」を肌で感じたい人には、地方暮らしは大きな発見の連続になるでしょう。
海外移住を検討中で、コストも気になる人
「フランスに住んでみたいけど、パリは高そう…」という声をよく聞きます。
実際、パリの家賃や生活費は高く、移住先として考えるにはハードルが高いのも事実です。
その点、地方都市なら同じ予算でも広い家が借りられたり、自然豊かな環境が手に入ったり。
移住を現実的に考えている人には、地方の方がずっと選択肢が広がります。
子育てやペットとの暮らしを大切にしたい人
猫や犬と一緒にのびのび暮らしたい、子どもを自然の中で育てたい——そんな希望がある人にとっても、地方都市は理想的な環境です。
公園や緑地が多く、近所の人たちとのつながりもあたたかい。
「安全で、豊かな毎日」を実現するには、地方のゆったりとした生活スタイルがぴったりです。
最後に

フランスというと、どうしてもパリの華やかなイメージが先行しがちですが、実際に地方都市を訪れたり、暮らしてみたりすると、「フランスって、こんなにも多様で奥深い国なんだ」と感じる瞬間が何度もあります。
フランスの本当の魅力は“地方”にあり
リヨンの美食、トゥールーズの活気、ナントの創造性、モンペリエの自由さ、エクサン・プロヴァンスの優雅さ――。
それぞれの街に、それぞれの顔があり、文化があり、人々の暮らしがあります。
地方都市は決して「パリの次」ではなく、それ自体が独立した魅力に満ちています。
フランスの「日常の豊かさ」は、むしろ地方にこそ息づいているのです。
自分だけの“マイ・フランス”を見つけよう
どんなライフスタイルを求めるかによって、ぴったりな街は変わります。
にぎやかな学生の町が好きな人もいれば、静かで歴史のある場所に惹かれる人もいるでしょう。
この記事を通して、「自分はどんな場所で暮らしたいのか」「どんなフランスを体験してみたいのか」考えるきっかけになれば嬉しいです。
きっとあなたにも、“しっくりくるフランス”があるはずです。
次にフランスを訪れるなら、地方都市も視野に
フランスを旅する機会があるなら、ぜひ地方都市にも目を向けてみてください。
パリとは違うリズム、風景、人々との出会いが、あなたの旅をより豊かにしてくれるはずです。
「まだ知らないフランス」が、地方の街角であなたを待っているかもしれません。