はじめに
ここまでで、
- グループとは何か(IFRS 10の考え方)
- 子会社の支配(Controlの3要素)
- 連結の例外・免除ルール
を学んできました。
今回のテーマは、いよいよ「実際にどうやって連結するか」です。
IFRS 10が定める連結会計の基本手順を、流れに沿ってやさしく整理していきましょう。
連結の目的を再確認
連結会計の目的は
「グループ全体をひとつの経済体として、財務状態と業績を正しく示す」こと。
つまり、親会社と子会社の財務諸表を一体化して、
社内取引や重複をなくした「本当の姿」を投資家に見せることです。
IFRS 10における連結の3つのステップ
連結の流れは、大きく3ステップで考えます👇
親会社と子会社の資産・負債・収益・費用を、
項目ごとに足し合わせてグループ全体の数値を作ります。
このとき、「親会社の投資」と「子会社の資本(share capitalなど)」が重複するので、
後でこれを消去(eliminate)します。
親会社は、子会社の株式を「投資(investment)」として保有しています。
一方、子会社側では同じ金額が「資本(share capital)」として記録されています。
この2つはグループ内では同じものを二重に数えているため、
**連結上は相殺(eliminate against each other)**します。
👉 その際、**非支配持分(NCI)**の分も忘れずに調整します。
親会社が100%持っていない場合、残りの部分は**Non-controlling Interest(NCI/非支配株主持分)**として計上します。
NCIは、子会社の純資産のうち親会社が持たない部分です。
この金額は、連結貸借対照表の資本の部に表示されます。
グループ内の取引は消す(Intra-group elimination)
グループの内部で行った取引(たとえば親→子への販売や貸付)は、外部の第三者との取引ではありません。
したがって、グループ全体としては存在しない取引として消去します。
具体的には
親→子への販売収益と、子会社側の仕入(費用)を消す
グループ内貸付・借入を消す
在庫に含まれる未実現利益を消す
これをintra-group elimination(社内取引の消去)といいます。
会計年度と会計方針の統一
決算日の違いへの対応
原則として、親会社と子会社は同じ決算日で財務諸表を作る必要があります。
もし違う場合は:
- できれば子会社側でグループの決算日に合わせて調整
- それが難しい場合は、最大3か月以内の差まで許容されます
- その期間に起きた重要な取引は修正して反映します
会計方針の統一
親会社と子会社が異なる会計基準(例:子会社が現地GAAP)を使っている場合は、
連結時にIFRS基準へ修正する必要があります。
取得・売却のタイミング
- 取得日(Acquisition Date):親会社が支配を得た日から連結を開始
- 売却日(Disposal Date):支配を失った日まで連結
つまり、法的な契約日ではなく、Controlが移った日が基準になります。
まとめ:IFRS 10の連結プロセスをシンプルに理解
| ステップ | 内容 | キー概念 |
|---|---|---|
| 1️⃣ 合算 | 親子の財務諸表を行ごとにまとめる | グループ全体を一体化 |
| 2️⃣ 投資と資本の消去 | 親の投資と子の資本を相殺 | NCIも認識 |
| 3️⃣ 内部取引の消去 | 社内売上・貸付・未実現利益を消す | 外部との取引のみ残す |
| 4️⃣ 年度・方針の統一 | 決算日と会計方針をそろえる | 最大3か月差OK |
| 5️⃣ 期間調整 | 支配の取得・喪失日に応じて範囲を決定 | Controlベースで判断 |



