はじめに
IFRS 10では、基本的に「支配(Control) している会社はすべて連結する」と決められています。
つまり、親会社が子会社をコントロールしているなら、原則としてグループ全体を一つの企業のように見せなければいけません。
でも、世の中には「すぐに売る予定の子会社」や「すでに上の会社で連結している中間会社」など、少し特殊なケースもあります。
今回は、そんな「例外的に連結をしないケース」と「親会社が連結財務諸表を作らなくていいケース」を整理していきます。
原則:支配しているなら連結が必要
昔の会計基準では、「事業の内容が違うから連結しない」「制限があるから除外する」などの例外が認められていました。
しかし、IFRS 10ではそれらをすべて廃止しています。
支配しているなら、どんな事業であっても連結します。
なぜなら、投資家にとって知りたいのは「グループ全体の経済的な実態」だからです。
IFRS 10では「支配=連結」。例外は基本的に存在しません。
唯一の例外:すぐに売る予定の子会社(IFRS 5)
たったひとつだけ、連結をしない特例があります。
それが「買ってすぐ売るつもりの子会社」です。
これはIFRS 5「売却目的の非流動資産(Non-current assets held for sale)」のルールが使われます。
- 買収したときから「短期間で売却予定」である
- すぐに売れる状態(=アクティブに買い手を探している)
この条件を満たす場合は、普通の子会社のように行ごとに連結せず、
売却予定資産として1行だけ表示します。
測定方法:公正価値 − 売却コスト(fair value less costs to sell)
💡 イメージ:
「グループの一員」ではなく、「すぐ売る商品」のような扱いになります。
親会社自身が“連結を作らなくていい”ケース (IFRS 10)
もう一つのケースは、「そもそも連結財務諸表を作る義務が免除される」パターンです。
これは、上位の会社(ultimate parent)がすでに連結を作っている場合などに限られます。
次の4つの条件をすべて満たせば、親会社は自分で連結財務諸表を出す必要がありません👇
- 自社が完全子会社か、または非支配株主(NCI)の同意を得ている
- 自社の株式や債券が公開市場で取引されていない
- 近いうちに公開市場で発行予定もない
- 上位(最終または中間)親会社がIFRSに準拠した連結財務諸表を作成している
IAS 27:連結免除でも「個別財務諸表」は作る
連結免除されたとしても、親会社は個別財務諸表(Separate Financial Statements)を作る必要があります。
このとき、子会社や関連会社への投資は次のいずれかの方法で計上します。
| 測定方法 | 内容 | 適用基準 |
|---|---|---|
| Cost(取得原価) | 買ったときの金額で記録 | IAS 27 |
| Equity Method(持分法) | 子会社の純資産の変動を反映 | IAS 28 |
| Fair Value(公正価値) | 市場価格や評価額で測定 | IFRS 9 |
🔹 配当の扱いも異なります:
- Cost/IFRS 9の場合 → 受け取った配当は利益として計上
- Equity法の場合 → 配当は投資残高から差し引きます
まとめ:連結しないのは、特別な場合だけ
| 区分 | 内容 | 適用基準 |
|---|---|---|
| Exclusion(除外) | IFRS 5:売却目的の子会社 | IFRS 10 §4, IFRS 5 |
| Exemption(免除) | 上位親会社がIFRS連結を作成している場合 | IFRS 10 §4 |
| Separate FS(個別財務諸表) | 投資をCost・Equity・Fair Valueで測定 | IAS 27 |



