連結をしない? IFRS 10の例外・免除ルールを整理(第3回)

目次

はじめに

IFRS 10では、基本的に「支配(Control) している会社はすべて連結する」と決められています。
つまり、親会社が子会社をコントロールしているなら、原則としてグループ全体を一つの企業のように見せなければいけません。

でも、世の中には「すぐに売る予定の子会社」や「すでに上の会社で連結している中間会社」など、少し特殊なケースもあります。
今回は、そんな例外的に連結をしないケース親会社が連結財務諸表を作らなくていいケースを整理していきます。

原則:支配しているなら連結が必要

昔の会計基準では、「事業の内容が違うから連結しない」「制限があるから除外する」などの例外が認められていました。
しかし、IFRS 10ではそれらをすべて廃止しています。

支配しているなら、どんな事業であっても連結します。
なぜなら、投資家にとって知りたいのは「グループ全体の経済的な実態」だからです。

IFRS 10では「支配=連結」。例外は基本的に存在しません。

唯一の例外:すぐに売る予定の子会社(IFRS 5)

たったひとつだけ、連結をしない特例があります。
それが買ってすぐ売るつもりの子会社です。

これはIFRS 5「売却目的の非流動資産(Non-current assets held for sale)」のルールが使われます。

  • 買収したときから「短期間で売却予定」である
  • すぐに売れる状態(=アクティブに買い手を探している)

この条件を満たす場合は、普通の子会社のように行ごとに連結せず、
売却予定資産として1行だけ表示します。

測定方法:公正価値 − 売却コスト(fair value less costs to sell)

💡 イメージ:
「グループの一員」ではなく、「すぐ売る商品」のような扱いになります。

親会社自身が“連結を作らなくていい”ケース (IFRS 10)

もう一つのケースは、「そもそも連結財務諸表を作る義務が免除されるパターンです。
これは、上位の会社(ultimate parent)がすでに連結を作っている場合などに限られます。

次の4つの条件をすべて満たせば、親会社は自分で連結財務諸表を出す必要がありません👇

  • 自社が完全子会社か、または非支配株主(NCI)の同意を得ている
  • 自社の株式や債券が公開市場で取引されていない
  • 近いうちに公開市場で発行予定もない
  • 上位(最終または中間)親会社がIFRSに準拠した連結財務諸表を作成している

A社 → 最上位の親会社
B社 → A社の100%子会社
この場合、B社はA社がIFRS連結を出していれば、自分では連結を作らなくてもOKです。

IAS 27:連結免除でも「個別財務諸表」は作る

連結免除されたとしても、親会社は個別財務諸表(Separate Financial Statements)を作る必要があります。
このとき、子会社や関連会社への投資は次のいずれかの方法で計上します。

測定方法内容適用基準
Cost(取得原価)買ったときの金額で記録IAS 27
Equity Method(持分法)子会社の純資産の変動を反映IAS 28
Fair Value(公正価値)市場価格や評価額で測定IFRS 9

🔹 配当の扱いも異なります:

  • Cost/IFRS 9の場合 → 受け取った配当は利益として計上
  • Equity法の場合 → 配当は投資残高から差し引きます

まとめ:連結しないのは、特別な場合だけ

区分内容適用基準
Exclusion(除外)IFRS 5:売却目的の子会社IFRS 10 §4, IFRS 5
Exemption(免除)上位親会社がIFRS連結を作成している場合IFRS 10 §4
Separate FS(個別財務諸表)投資をCost・Equity・Fair Valueで測定IAS 27

次回(第4回)予告

連結会計の基本手順 IFRS 10 Consolidation Processを解説します

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